体外受精(IVF)とは

「体外受精」とは、採卵手術により排卵前に子宮内から取り出した卵子を体外で受精させ、できた受精卵を子宮に戻して妊娠を目指す方法です。

受精が正常に起こり、細胞分裂を順調に繰り返して発育した良好胚を体内に移植すると妊娠率がより高くなることから、一般的には2-5日間の体外培養後に可能な限り良好な胚を選んで腟の方から子宮内に胚移植します。

「体外受精(In Vitro Fertilization/IVF)」は、「高度生殖医療技術(assisted reproductive technology/ART/アート)」の一つです。「顕微授精」も「高度生殖医療技術」になります。

体外受精で生まれる赤ちゃんは増加中

日本産科婦人科学会によると、年間の全出生数で見れば26人に1人の割合で体外受精で生まれた赤ちゃんがいます。およそ学校のクラスに1人は体外受精で生まれる計算になります。体外受精で生まれる子供の数は年々増えており、不妊症に悩む人を助ける手段として定着しています。

体外受精の費用は?

費用は保険適用外なので全額自己負担

一般不妊治療の中には健康保険が適用される治療もありますが、体外受精や顕微授精で用いられる薬剤費や処置はすべて保険が適用されないため、全額自己負担(自費診療)となります。

施設や処置の方法等で費用は変わる

費用は、卵巣刺激法や採卵、培養、胚移植などの方法で変わってきます。また施設によっても大きく異なりますが、約10~100万円の費用がかかります。

大学付属病院などでは比較的料金が安く、1周期あたり10万円台で実施しているところもあります。一方、不妊治療専門施設では1周期あたり40~60万円程度必要になる施設も多く、中には100万円近くかかるところもあります。

各プロセスでの費用の目安

採卵、胚移植、胚盤胞までの長期培養、胚凍結保存など、細かく治療段階毎に費用を設定しているところがほとんどです。途中でキャンセルが発生した場合、そこから先の費用がかからないような配慮です。また、反復不成功例では採卵費用が安くなる、また採卵個数や授精個数、凍結本数などによって費用が段階的に変わるというケースも多くあります。

 

各費用の目安です。参考にしてください。

  • 体外受精(採卵・胚移植含む):30万円
  • 培養:2万円
  • 胚凍結(4~5個):10万円
  • 凍結胚移植:10万円

自治体によっては助成金があるところも

自治体によっては助成金があり、不妊治療の費用の一部を負担してもらえる場合もあります。お住いの自治体のホームページで確認してみましょう。年齢や回数などの制限があるため注意してください。自治体の不妊治療に対する助成金については、別記事で紹介します。

体外受精を行うケース

体外受精はタイミング法や人工授精からステップアップした治療法で、自力での受精が困難な方、もしくは体外受精でしか妊娠できないと判断された方への治療に利用されます。体外受精にもいくつかの段階や種類があります。適応されるケースには以下のようなものがあります。

卵管性不妊

卵管閉塞や、卵管水腫など卵管の通過性に問題のある方で、卵管形成術(手術療法)で卵管の通過性が保てない方、または通過性は保たれていても卵管機能が失われている可能性のある方、重度の子宮内膜症の方の場合にも適応されます。

長期間の不妊(原因が不明の不妊)

一定期間の一般不妊治療(タイミング法を半年~1年、人工授精を6回程度)を行ったにもかかわらず妊娠にいたらない場合にも適応されます。女性が36歳以上の場合、不妊とされる期間はさらに短くなります。

軽度もしくは中度の子宮内膜症の疑いがある場合も原因不明と同様に考えます。

男性不妊

乏精子症や精子無力症で精子が機能しない(もしくは弱い)ようなケースでも適用されます。施設によってARTの適応基準の数値は異なりますが、総運動精子数が100万~1000万個で不妊期間が2年以上ならば体外受精の適応とするところが多いです。

免疫性の不妊

女性側の「抗精子抗体」が陽性で、その抗体価が高く不妊期間がある場合にも適応されます。「抗精子抗体」とは、女性が精子を異物と認識したために産生される抗体で、精子の機能を障害する可能性があります。

精液検査に問題がなく、「フーナーテスト」の結果が常に不良になる場合、抗精子抗体検査(血液検査)を受けるようにしましょう。

フーナーテストについては、「フーナーテスト(ヒューナーテスト/性交後試験)について」で解説します。

体外受精を成功させるポイントは?

体外受精を成功させるには、「いかに質の良い卵子(受精卵)を育てて、いかに良い環境の子宮に移植できるか」にかかってきます。

病院・クリニック選びのポイント

  • 自然周期での排卵誘発にこだわらない
  • 優秀な(生殖補助医療)胚培養士がいるクリニックを選ぶ
  • 凍結胚移植を得意にしているクリニックを選ぶ

個人的にできること

  • 身体を冷やさない(運動がオススメ)
  • バランスの良い食事
  • 規則正しい睡眠時間の確保

 

※胚培養士とは、大学病院や産婦人科の医師の指導の下で顕微授精や体外授精などの生殖補助医療を行うことを業務とする医療技術者です。同様の認定資格に「臨床エンブリオロジスト」があります。

凍結胚移植など、治療の具体的なことについては、「体外受精の流れや治療の手順」をご覧ください。