「不妊」の定義

「日本産科婦人科学会」によると、

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。

と定義されています。ちなみに、2015年以前の定義では2年を過ぎても妊娠できなければ、「不妊」とされていました。「どれくらいの期間できなければ」という基準は、今後も年数が変化していく可能性があります。

「不妊症」と「不妊」の違いは?

「不妊症」も「不妊」も、子供が欲しいのに授からない期間を指します。だいたい同じ意味であると捉えてもらって問題ないでしょう。

不妊症は病気ではない?

一般に結婚を考える年齢で、避妊せず、通常の夫婦生活を送っていれば、だいたい結婚して半年で7割、1年で8割~9割、2年以内で9割~10割が妊娠するといわれています。

不妊症は病気ではなく、「症候群」です。「症候群」というのは、原因や理由と関係なく、ある症状の人をいう言葉です。「理由はどうあれ、子供ができない人」を「不妊症」といいます。原因が男女問わず、一般的には「避妊をせずに1年たっても子供ができなければ不妊症」と定義しています。

不妊症と病気の違い

病気の場合

症状が出る→検査して原因を見つける→診断→診断に従って治療開始

という流れで治療します。

不妊症の場合

症状がそもそもない場合がある→検査でわかることとわからないことがある→原因が特定しにくい

症状がなく、検査しても原因が分からないため、治療が始められないこともあります。

不妊症の原因は?

多くの方は「妊娠できないのはなぜか」「何が原因か」を気にされます。

しかし、不妊症に関しては、検査の結果は正常だったり、本当の原因まで特定できないことがほとんどです。何かしらの原因があり、妊娠までになんらかの障害が起きていても、全ての解明までには至っていません。不妊症の原因の多くは、複数の原因が、複雑に絡み合って不妊という症状が形成されています。

例えば

  • 精子も卵子も異常なし
  • 細胞分裂しない
  • 排卵があっても、卵子が入っている卵胞の中の卵子が変性
  • 卵自体の問題
  • 卵の質の低下で胎児になれない卵
  • 染色体異常

など。

そこで、妊娠に至る過程の段階での何らかの障害があると想定します。それを障害ごとに、排卵障害やピックアップ障害、受精障害、卵管障害、着床障害といった呼び方をして分類しています。

不妊症の兆候や具体的にどのような症状があるかについては、「不妊症の兆候や症状について」をご覧ください。

男性側、女性側、もしくは両方が原因も?

不妊症の原因には様々ありますが、大きく分類すると、原因には「男性側」「女性側」「両方」の3パターンがあります。または、不妊の原因が全く分からない「不明」のケースもあります。

ちなみに、検査で原因が判明する不妊を「機能性不妊」、原因が分からない不妊を「器質性不妊」と分類しています。

男性側の主な原因

  • 無精子症(精巣(睾丸)の異常)
  • 精路閉鎖
  • 性交障害
  • 内分泌ホルモン異常
  • その他

女性側の主な原因

  • 卵巣機能不全
  • 卵管狭窄(きょうさく)癒着、卵管閉鎖、卵管水腫(すいしゅ)
  • 子宮筋腫(きんしゅ)、子宮奇形、子宮発育不全
  • 内分泌ホルモン異常
  • 子宮内膜症
  • その他

男性、女性の両方の原因

女性、男性のそれぞれに上記のような原因がある場合。

不妊症の原因になりそうなもの(こと)については、別記事にまとめます。

男女別での不妊症の割合

「WHO(世界保健機関)」によると、男女の不妊割合は以下のようになっています。

  • 女性…41%
  • 男性…24%
  • 男女両方…24%
  • 不明…11%

不妊症の原因が男性側にある夫婦は約4組に1組あります。女性だけでなく男性側にも問題がある確率は低くありません。不妊症の検査は夫婦ともに受けることが原則です。

不妊症の患者は増加傾向

厚生労働省が発表した「特定不妊治療助成事業における助成対象件数」が、2004年時点で2万件以下であったのが、2011年時点では11万件以上にまで増加しています。これを見ても、不妊治療を受けているカップルの数が年々増加傾向にあることが分かります。

参考リンク:「不妊をめぐる現状―厚生労働省」

不妊治療については、別記事にて詳しく取り上げたいと思います。

増加の原因は?

一般的には、晩婚化・晩産化による高齢出産の増加や、食生活の変化、セックスレスなど、様々な原因が指摘されています。その中でもとくに高齢化は大きな要因とされており、年齢を重ねる事により妊娠率は徐々に低下していきます。

年齢と不妊との関連については、「不妊症と年齢の関係」をご覧ください。

気になったら医師に相談

医学は年々進歩しており、原因不明の不妊についても、解明が進んでいるものもあります。なかなか妊娠しない場合は、期間にとらわれず、早めに専門の医師等に相談することが重要です。

 

その他、不妊につながりやすいものについてまとめました。↓

参考記事:「不妊につながりやすいものは?」