「子供だけほしい。結婚はしたくない。」
「独身女性だけど子供だけ欲しい」
こんな悩みを解決します。
この記事では、選択的シングルマザーになる方法を説明します。
選択的シングルマザーとは?
選択的シングルマザーとは「結婚はせずに、自分の意思で子どもを産み育てることを選んだ女性」のことです。
分かりやすく言うと、「パートナーはいないけど子どもは欲しい。だから自分の力で育てていこう」と初めから自分で決意して母親になった人のことです。
この言葉のポイントは「選択的」という部分です。誰かに言われたからでも、状況がそうなってしまったからでもなく「自分で選んだ」という主体的な意志が込められています。
「シングルマザー」と「選択的シングルマザー」は、言葉が似ていますが少しニュアンスが違います。
シングルマザーは離婚や死別など、様々な理由で「結果的に」ひとりで子どもを育てている母親全般を指す広い言葉です。
選択的シングルマザーは結婚という形をとらず、最初から「自らの意思で」ひとり親になる道を選んだ人を指します。
選択的シングルマザーが増加している理由
近年、選択的シングルマザーになる人が増えています。考えられる理由が5つあります。
女性が経済的に自立できるようになったから
昔は男性の収入に頼らなければ生活が難しい時代でした。
しかし今は違います。女性も男性と同じように働き、十分に稼ぐことができます。
経済的な理由で結婚に頼る必要がなくなりました。
「自分一人の力で、子どもを育てられる」
そう考える女性が増えたのは、自然な流れと言えるでしょう。
「結婚=幸せ」という価値観が変わったから
「結婚して一人前」「結婚するのが当たり前」
そんな考え方は、もう古くなっています。
幸せの形は人それぞれです。結婚しなくても、幸せな人生を送ることはできます。そんな「価値観の多様化」が進んでいます。
結婚という制度にこだわらず、自分らしい家族の形を求める人が増えています。
結婚生活のデメリットを避けたいから
結婚にはもちろん良い面がたくさんあります。
しかし、大変な面があるのも事実です。
例えば、パートナーとの意見の対立。家事や育児の分担をめぐるストレス。相手の親族との付き合いなどです。
「子どもは欲しい。でも、そうした結婚生活の苦労はしたくない」
そう考えて、パートナーを持たずに子どもだけを望む女性もいます。
医療技術が進歩したから
昔はパートナーなしで子どもを授かるのは困難でした。しかし、今は医療技術が進歩しています。
第三者から精子の提供を受ける「非配偶者間人工授精(AID)」などがあります。
これにより、パートナーがいなくても子どもを持つという選択肢が現実的になりました。
「母親になりたい」という気持ちを優先したいから
「子どもを産み育てる」という経験は何にも代えがたいものです。一方で出産には年齢的なリミットがあります。
「いつか良い人が現れたら…」と待っている間に、タイミングを逃してしまうかもしれません。
それならば、「まずは母親になる」という夢を先に叶えたい。そう考える女性が増えています。
結婚と出産を切り離して考える。これも新しい価値観の一つです。
選択的シングルマザーになるメリット
選択的シングルマザーになるメリットについてです。
パートナーとの関係に悩まない
夫婦間のストレスから解放されます。
例えば、家事や育児の分担で揉めることがありません。「言った」「言わない」のすれ違いもなくなります。パートナーの親族との付き合いに悩む必要もありません。
精神的にとても穏やかな毎日を送れます。子育てに集中できる環境が手に入ります。
自分の理想の子育てができる
子育ての方針をすべて自分で決められます。
「どんな学校に通わせたいか」
「どんな習い事をさせたいか」
「どんな大人になってほしいか」
これらをパートナーと相談する必要がありません。自分の価値観や教育方針を、そのまま子どもに伝えられます。子育てのことで意見がぶつかるストレスがありません。
仕事のキャリアを中断しなくていい
自分のキャリアプランを大切にできます。
パートナーの転勤や都合で、仕事を辞める必要がありません。
「育児に専念したい時期」
「仕事に復帰するタイミング」
これらをすべて自分でコントロールできます。
仕事と子育てのバランスを、自分で決められるのが大きな魅力です。
お金の使い道を自分で決められる
収入のすべてを、自分と子どものために使えます。
何にお金を使うか、夫に相談する必要もない。
家計のことで夫と喧嘩になる心配もありません。
子どもと深い絆を築きやすい
子どもと一対一で向き合う時間が増えます。
ママが一番の理解者であり、相談相手になります。
その結果、親子間に強い信頼関係が生まれます。
他の誰にも邪魔されず、子どもとの絆をじっくり深められます。
選択的シングルマザーになるデメリット
経済的な負担がすべて自分にのしかかる
これが一番大きな課題かもしれません。
収入源は自分ひとりです。子どもの学費や生活費を、すべて自分で稼ぐ必要があります。自分が病気やケガで働けなくなったら、収入は途絶えてしまいます。
常に将来のためのお金を考え、計画的に生活することが求められます。
予想外の出費に対応できる貯金も必要です。
精神的・体力的な負担が大きい
頼れるパートナーがいません。
子育ての喜びも大きいですが、大変さも一人で背負います。子どもが熱を出した夜も、自分が仕事を休んで看病します。心細い時、グチを聞いてくれる人はいません。
「全部ひとりでやらなきゃ」というプレッシャーは想像以上です。体力と精神力の限界を感じる日が来るかもしれません。
子どもの「父親がいない」という事実と向き合う
子どもはいつか、自分の父親について疑問を持ちます。
「どうして自分にはパパがいないの?」
この質問に、どう答えるか考えておく必要があります。誠実に、子どもの心が傷つかないように伝えなければなりません。
また、運動会などの学校行事で、寂しい思いをさせてしまう可能性もあります。子どもの気持ちに寄り添う覚悟が必要です。
周囲からの偏見や無理解に傷つくことがある
まだ新しい生き方なので、理解されにくいのが現実です。
「わがままじゃないの?自己中じゃない?」
「子どもがかわいそう」
そんな心ない言葉をかけられることがあるかもしれません。
親や親族から反対されるケースも少なくありません。周囲の無理解に心が折れそうになる時もあるでしょう。強い意志と、気にしないタフさが求められます。
緊急時に頼れる人が少ない
自分が倒れた時のことを考えておく必要があります。
もし、自分が事故にあったり病気で入院したりしたら、その間誰が子どもの面倒を見てくれるか。近くに頼れる親や兄弟がいない場合、深刻な問題になります。
いざという時のために地域のサポートや友人の協力など、頼れる先を複数確保しておくことが不可欠です。
選択的シングルマザーになる方法
選択的シングルマザーになる方法は6つあります。
非配偶者間人工授精(AID)
国内の認定された医療機関で、第三者から提供された精子を使って人工授精を行う方法です。
■メリット
医師の管理下で行われるため、安全性が高いです。性感染症などのリスクを心配する必要がほとんどありません。
■デメリット
未婚の女性が治療を受けられる施設は、日本にはごくわずかしかありません。また、費用がかかり、提供してくれた人が誰なのかを知ることはできません。
■費用の目安(総額)
10万円 ~ 50万円以上
海外の精子バンク
海外(台湾、デンマーク、アメリカなど)の精子バンクから凍結精子を購入し、日本の提携クリニックで人工授精や体外受精を受ける方法です。
■メリット
提供者の人種、学歴、身体的な特徴、趣味など、詳しい情報をもとに自分で選べる場合があります。選択肢が豊富なのが魅力です。
■デメリット
精子の購入費、海外からの輸送費、日本での治療費というように費用が高額になります。また、英語で手続きをする場合があります。
■費用の目安(総額)
100万円 ~ 300万円以上
知り合いの男性
友人や知人、交際相手(彼氏)から善意で精子の提供を受ける方法です。
■メリット
相手の性格や健康状態が分かっているため、精神的な安心感があります。金銭的な負担を抑えられる可能性もあります。
■デメリット
将来、お金や子どもの認知に関することでトラブルになる危険があります。協力してくれた相手との人間関係が壊れるリスクも考えられます。
■費用の目安(総額)
0円〜数万円
SNS、ブログ、掲示板
インターネット上の掲示板やSNSなどで「精子提供します」と書いている人と連絡を取って提供を受ける方法です。
■メリット
金銭的な負担が少ないです。人によっては無償で精子提供をしています。タイミング法が可能な場合があります。
■デメリット
性感染症をうつされるリスクがあります。相手が本当のことを言っている保証がありません。性犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
■費用の目安(総額)
0円〜数万円
事実婚
法律上の結婚はせずに「一緒に子どもを育てよう」と約束したパートナーの協力を得て、子どもを授かる方法です。
■メリット
子育ての大変さや喜びを分かち合える相手がすぐそばにいます。一人で全てを背負う精神的、経済的な負担を減らすことができます。
■デメリット
法律で守られた夫婦ではないため、子どもの親権や財産の相続などで、法的な問題が起きやすいです。事前に専門家を交えて話し合うことが大切です。
養子縁組
さまざまな事情で生みの親と暮らせない子どもを、法的に自分の子どもとして家庭に迎え入れ、愛情をもって育てる制度です。
■メリット
血のつながりとは関係なく、親になりたいという強い想いを実現できます。子どもに温かい家庭という環境を与えることができます。
■デメリット
独身者が養親になるための審査は、夫婦が申し込む場合よりも厳しくなる傾向があります。実際に子どもを迎えるまでに、長い時間がかかります。
選択的シングルマザーになる方法【5ステップ】
選択的シングルマザーになるための手順を5ステップで説明します。
- 情報収集
- お金の計画を立てる
- 妊活開始
- サポート体制を固める
- 公的手続き
情報収集
まず情報収集をします。
・選択的シングルマザーについて徹底的に調べる。
メリットだけでなく、デメリットや厳しい現実も直視しましょう。当事者のブログや本、SNSを読んで、リアルな生活を学びます。
・自分の気持ちを掘り下げる。
「なぜ自分はなりたいのか?」と自問自答しましょう。
・信頼できる人に話す。
親や親友など、本当に信頼できる人にだけ気持ちを打ち明けてみましょう。なるべく一人で考え込まないようにします。
お金の計画を立てる
子育てにはお金が必要です。お金の計画を立てましょう。
・現状を把握する
今の貯金額、毎月の収入と支出をすべて書き出します。自分がいくら使えるのか、正確に把握しましょう。
・必要な費用を計算する。
出産費用、当面の生活費、将来の養育費や学費など、必要なお金をシミュレーションします。「出産育児一時金」など、国や自治体からもらえるお金も必ず調べましょう。
・具体的な貯蓄計画を立てる
いつまでに、いくら貯めるのか目標を決め、毎月の貯金額を設定します。不安な方は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのもおすすめです。
妊活開始
「AID」「海外精子バンク」「SNS」などの方法を選びます。自分に合う方法を慎重に選びましょう。
サポート体制を固める
妊娠中からいざという時に頼れる環境を整えておきます。
・周囲に正式に報告し、協力を得る。
安定期に入ったら、親や兄弟、信頼できる友人に正式に報告します。「産後の手伝い」や「緊急時の子どもの預かり」など、具体的なお願いをしておきましょう。
・職場と相談する
会社の育休・時短勤務制度を改めて確認し、上司に報告・相談します。
スムーズに復帰できるよう、早めに連携をとっておくことが大切です。
・地域のサポートを調べる
お住まいの自治体の「ファミリー・サポート・センター」や「一時預かり事業」、病児保育などのサービスに登録しておきましょう。
公的手続き
出産後は公的手続きをします。
・出生届を提出する。
出産後14日以内に役所に提出します。この時、父親の欄は空欄になります。
・ひとり親向けの手当を申請する。
「児童扶養手当」や「ひとり親家庭等医療費助成制度」など、受けられる支援はすべて申請します。制度は自治体によって異なるため、必ず役所の窓口で確認してください。
選択的シングルマザーのよくある質問
父親がいないと、子どもがかわいそうじゃない?
「かわいそう」かどうかは、他人が決めることではありません。大切なのは、父親がいるかいないかではなく、どれだけ母親から愛情を受けて育ったかです。
両親が揃っていても、不仲な家庭で育つこともあります。それよりも、母親からのたっぷりの愛情に包まれて育つ方が、子どもは幸せだと思います。
父親の役割を補って余りあるほどの愛情を注ぐ覚悟があるか。それが一番大切です。
選択的シングルマザーの割合は?
現在の日本には「選択的シングルマザーの人数の割合」に関する公式統計はありません。
ただ、参考となるデータが1つあります。
厚生労働省の「人口動態統計」によると、日本で生まれる子どものうち、婚外子の割合は近年約2.4%で推移しています。
この「婚外子」の数字には、事実婚のカップルの間に生まれた子どもなども含まれます。そのため、「婚外子の割合 = 選択的シングルマザーの子どもの割合」というわけではありません。
経済的に一人でやっていける?どのくらいお金が必要?
まず、安定した収入を得られる仕事に就いていることが大前提です。
年収は最低でも300万円必要です。できれば400万〜500万円はほしいところ。
また、出産費用と産休中の生活費として、最低でも200万〜300万円の貯金が必要です。
子どもに父親のことを、どう説明すればいい?
嘘をつかず、子どもの年齢に合わせて、分かりやすく正直に話すことが大切です。
例えば、「ママは、あなたのことが大好きでどうしても会いたかったから、特別な方法で家族になったんだよ」
「世界には、パパとママがいるおうち、ママだけのおうち、色々な家族の形があるんだよ」
というように、ポジティブな言葉で伝えましょう。
あなたが心から望まれて生まれてきた、かけがえのない存在だと伝え続けることが何より重要です。
親や周りから反対されたら、どうすればいい?
まずは、感情的にならず、冷静に話し合う姿勢を見せましょう。
なぜ自分がこの道を選びたいのか。
どんな覚悟を持っていて、どんな計画を立てているのか。
あなたの本気度を、時間をかけて誠実に伝えることが大切です。
すぐには理解してもらえないかもしれません。しかし、最終的には「自分の人生は自分で決める」という強い意志を持つことが、周りの理解を得る第一歩になります。
自分が病気で倒れたら、子どもはどうなるの?
これは、必ず備えておくべき最も重要なリスクです。一人で解決することはできません。
対策として、複数のセーフティネット(安全網)を用意しておきましょう。
・親や兄弟に、緊急時のサポートを正式にお願いしておく。
・お住まいの地域の「ファミリー・サポート・センター」や「一時預かり」に登録しておく。
・信頼できる友人と、お互いに助け合える関係を築いておく。
万が一に備えて、民間の保険(自分が働けなくなった時のための保険など)を検討するのも良い方法です。
将来、恋愛したりパートナーが欲しくなったりしたらどうするの?
もちろん、恋愛をして新しいパートナーと出会うことは自由です。「選択的シングルマザー」は、一生独りでいると決めることではありません。
大切なのは、そのパートナーが「子どもを含めたあなたの人生」を丸ごと受け入れてくれる人かどうかです。子育てが一段落してから、自分の時間を取り戻す人もいます。
子どもにとって信頼できる大人が一人増えることは、むしろプラスになるという考え方もあります。焦らず、自分と子どものペースを大切にしましょう。
具体的にどんな公的支援が受けられるの?
ひとり親家庭が受けられる支援は、国や自治体によって様々です。所得制限がある場合も多いので、必ずお住まいの役所の窓口で確認してください。
・児童扶養手当
→ひとり親家庭に支給される、国からの手当です。
・ひとり親家庭等医療費助成制度(通称:マル親)
→親と子の医療費(保険診療の自己負担分)が助成される制度です。
・保育料の減免
→認可保育園などの保育料が、所得に応じて安くなることがあります。
自治体独自の「児童育成手当」や、国民年金・国民健康保険料の免除・減額制度などもあります。
学校で、子どもが父親のことでいじめられたりしない?
心配になるお気持ちは、とてもよく分かります。いじめのリスクは、残念ながらゼロとは言えません。
しかし、これはどんな家庭環境の子どもにも起こりうることです。
最も大切なのは、子どもが何かあった時に、すぐに母親に話せる信頼関係を築いておくことです。
日頃から子どもの自己肯定感を育み、「あなたは愛されている大切な存在だ」と伝え続けましょう。それが、困難を乗り越える一番の力になります。
以上です。